消えてしまうものに、いちばん手をかける

八月十六日。今日は送り火の日です。京都の五山送り火もこの日だと、あらためて知りました。 県内でも今夜、夏まつりや花火のあるところがあるようです。 お盆の終わりというのは、火を焚いて、それが消えるのを黙って見ている日なんだな、と思います。
消えるものに、どうしてこんなに手をかけるのか
前から不思議に思っていることがあります。 花火は、数十分で終わります。あれだけの準備と費用と人手をかけて、跡形もなく消える。 送り火も同じです。燃やしたら終わり。それでも人は毎年、同じ手間を、同じようにかける。
消えるものに、どうしてこんなに手をかけるのか。
僕は舞台の人間なので、この問いが他人事ではありません。 第1回公演『佐賀の夜の夢』には、約4,200名のお客様に足を運んでいただき、黒字で幕を下ろすことができました。 ありがたい数字です。けれど、あの舞台はもうどこにもありません。 セットは解体され、衣裳は畳まれ、あの夜の音は空気に溶けました。
残らないものだけが、人の中に残る
映像は残ります。写真も残ります。でも、あの夜そのものは残らない。 それでも僕は、あれが無駄だったとはどうしても思えないのです。 むしろ逆で、消えると分かっているから、あの日みんなあんなに本気だったのだと思います。 もう一回はない。今夜しかない。だから客席も、舞台の上も、 あの数時間だけ全員が同じ方を向いていられた。
残らないものだけが、人の中に残る。花火を見た夏を、人はなぜか何十年も覚えています。 夏休みのこの時期、全国のあちこちで子どもたちの舞台が上演されています。 どれもいつか終わって、消えます。それでいいのだと思います。 消えたぶんだけ、立った子の中に移っている。
2027年9月26日、SAGAアリーナ
第2回公演『ピーターパン 〜ネバーランドSAGA〜』を、昼夜2公演で上演します。 舞台に立つのは、佐賀の県民、約300人。
ネバーランドは、地図に載っていない島です。載らないから嘘だ、とは誰も言いません。
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もっと遠くへ行けるのではないか。