もらわないほうが、濃くなるものがある

八月二十一日。今日は献血の日だそうです。 1964年のこの日、輸血に使う血液を、これからは献血でまかなう。 国がそう決めた日らしいです。 それまでは、血を売り買いする仕組みのほうが主流だった、とも書いてありました。
読んでいて、素朴なところで手が止まりました。
対価をやめたのに、足りなくならなかった
お金を払うのをやめたのに、足りなくなるどころか、まかなえるようになった。 ふつうに考えれば、逆のことが起きそうなものです。 対価がなくなれば、人は来なくなる。そう思うのが自然です。
でも、そうはならなかった。
損得だけなら、続くはずのないこと
僕らの現場の話をします。 第2回公演には、佐賀の県民が約300人、同じ舞台に立ちます。 念のために書いておきますが、この人たちは、出演料をもらって立つわけではありません。 むしろ逆で、仕事を早めに切り上げ、家のことを誰かに頼み、 ガソリン代を使って稽古場まで来ます。持ち出しです。
損得だけで考えたら、続くはずのないことをしています。 それでも続きます。ここが不思議なところで、僕はずっとその理由を考えてきました。
たぶん、差し出しているつもりで、いちばんもらっているからだと思います。
昨日できなかったところが今日できる。名前を呼んでくれる人が増える。 終わったあとの、あの声。それから、自分でも知らなかった自分の顔。 どれも、お金では買えないほうの受け取りものです。
だから僕は、この場を「無償のボランティア」だとは思っていません。 払っていないのではなく、別の通貨でやりとりしているのだと思っています。
4,200名は、時間の総量だった
第1回公演『佐賀の夜の夢』には、約4,200名のお客様に来ていただき、 黒字で幕を下ろすことができました。 数字だけ見ればお金の話に見えます。 でも中身は、県民が持ち出した時間の総量です。 あれは、そういう積み上がり方をした数字でした。
第2回は2027年9月26日、SAGAアリーナ。昼と夜、二回。
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もっと遠くへ行けるのではないか。