飛ぶ人と、飛ばす人

九月十二日は「宇宙の日」だそうです。一九九二年のこの日、日本人として初めて、 スペースシャトルに乗って宇宙へ飛び立った方がいたと聞きました。
あらためて考えてみて、少し不思議な気持ちになりました。空へ行ったのは、ほんの数人です。 けれど、その数人を送り出すために、地上にはとんでもない数の人がいたはずです。 機械を組んだ人、数字を確かめた人、天気を待った人、食事を用意した人。 名前が残っているのは、飛んだ人のほうだけです。
地上にいた人たちは、自分では飛びません。 それでも、あの日の打ち上げに立ち会っていたことに、変わりはないと思うのです。
稽古場にも、同じ景色があります
舞台に立つ人は、次の公演で約300人。その隣に、支える人が約200人います。 照明を当てる人、衣装を直す人、受付に立つ人、子どもたちを送り迎えする保護者の方。 舞台の上には、ひとりも出てきません。
けれど、幕が上がったとき、その人たちが「観客」だとは、私にはどうしても思えません。 あれは、飛ばしている側の顔です。
「舞台に立つタイプじゃないので」。そう言われるたびに、それなら、なおさら来てください、と思っています。うちは、立たない人のための場所が、ちゃんと二百人分あります。
九月の帰り道
九月の佐賀は、日が落ちるのが早くなりました。稽古の帰り、自転車で田んぼの道を走ると、 稲が黄色に傾きはじめているのが分かります。夜の空気が澄んできて、星がひとつ、はっきり見える日もあります。 あれも、誰かが見あげているから星なのだと思います。
ひとつだけ、うかがってみたいことがあります。あなたが誰かを見送ったのは、いつでしたか。
入口は、三つあります
私たちは2027年9月26日、SAGAアリーナで第2回公演『ピーターパン 〜ネバーランドSAGA〜』を上演します。昼夜2公演です。 舞台に立つ出演者が約300人、支えるスタッフが約200人、客席で観てくださる方が約12,000人。 どれを選んでもらってもかまいません。
第1回『佐賀の夜の夢』には、約4,200名の方が来てくださいました。 もっと遠くへ行けるのではないか。それが、私たちの合言葉です。
飛ぶ人と、飛ばす人。どちらも、同じ空を見ています。