約束があるから、跳べる

九月十三日は「世界の法の日」だそうです。一九六五年のこの日から、アメリカで開かれた国際会議で、 法の支配によって世界の平和を実現しよう、という宣言が出されたと聞きました。
正直に言うと、私は「法」や「決まり」という言葉が、あまり好きではありませんでした。 人を縛るもの、面倒なもの、というくらいに思っていました。
けれど、稽古場にいると、少し違うことを考えます。
「なんで?」と、子どもたちは聞きます
うちの稽古場にも、決まりごとがいくつかあります。暗転のあいだは走らない。袖では声を出さない。 人の衣装には触らない。出るときと、はけるときの道は決まっている。
子どもたちは、最初かならず聞きます。「なんで?」 私はこう答えることにしています。そのほうが、自由だからですよ、と。
暗転のなかで走らないと決めておくから、明かりがついた瞬間に、思いきり走れます。 袖で静かにしていると決めておくから、舞台の上で大きな声が出せます。 決まりが何もないと、みんなが少しずつ遠慮して、結局だれも本気を出せなくなります。
跳ぶ人の下には、地味な手順がある
ピーターパンは、空を飛びます。飛ぶためには、下で誰かがひもを確かめ、 手順どおりに一つずつ点検していく時間が要ります。地味で、退屈で、毎回まったく同じことの繰り返しです。 でも、その手順があるから、その子は何も考えずに、思いきり跳ぶことができます。
決まりというのは、しばるためではなく、こわがらずにいられるためにあるのだと思います。
日曜の朝、稽古場の窓を開けると
九月の佐賀は、日曜の朝が静かです。稽古場の窓を開けると、どこかの学校から運動会の練習の音が聞こえてきます。 号令があって、足音がそろう。あれも、しばられている音ではなくて、そろえたほうが楽しいと知っている音に聞こえます。 床にくつがきちんと並んでいるのを見ると、誰も見ていない場所にも約束はあるのだな、と思います。
ひとつだけ、うかがってみたいことがあります。あなたが「守ってよかった」と思う小さな約束は、なんですか。
入口は、三つあります
私たちは2027年9月26日、SAGAアリーナで第2回公演『ピーターパン 〜ネバーランドSAGA〜』を上演します。昼夜2公演です。 舞台に立つ出演者が約300人、支えるスタッフが約200人、客席で観てくださる方が約12,000人。 どれを選んでもらってもかまいません。
第1回『佐賀の夜の夢』には、約4,200名の方が来てくださいました。 もっと遠くへ行けるのではないか。それが、私たちの合言葉です。
約束があるから、人は跳べます。