返事は、おくれて届く

九月十四日は「コスモスの日」だそうです。三月十四日のホワイトデーから、ちょうど半年後にあたる日で、 コスモスの花を贈って、おたがいがいてくれることに感謝しあう日だと聞きました。
はじめて知ったとき、半年も経ってからか、と思いました。 お返しというのは、早いほうがいいものだと、どこかで思いこんでいたからです。
けれど、暦にちゃんとあるのですね。半年待ってから、返していい日が。
その場では、伝わらない
稽古場のことを、思い出しました。
子どもたちに何かを伝えるとき、その場で伝わることは、ほとんどありません。 声の出し方でも、立ち位置でも、人の話の聞き方でも、だいたいその場では「はい」と返ってくるだけです。 分かったような、分かっていないような顔で。
それでいいのだと、最近は思うようになりました。
何ヶ月もあとになって、本番の舞台の上で、その子が急にできるようになる瞬間があります。 誰に言われたわけでもなく、体が勝手にそう動いている。 あのとき言ったことが、ずいぶん遠回りをして、やっと返ってきたのだな、と思います。
返事は、その場では来ません。半年、一年、ときにはもっと経ってから、まったく別の形で届きます。
「今から始めても遅いのでは」について
そう考えると、「今から始めても遅いのでは」という言葉が、少し違って見えてきます。 次の公演まで、まだ一年と少しあります。今日たねを蒔いたものが、ちょうど返ってくるころです。
九月の佐賀は、道ばたにコスモスが咲きはじめました。月曜の朝、通学路のわきで揺れているのを見かけます。 細い茎のわりに、あれはなかなか倒れません。 夕方、稽古場の床をモップでふきながら窓の外を見ると、日の暮れるのが少し早くなったのが分かります。
ひとつだけ、うかがってみたいことがあります。ずっとあとになって意味が分かった言葉は、ありますか。
入口は、三つあります
私たちは2027年9月26日、SAGAアリーナで第2回公演『ピーターパン 〜ネバーランドSAGA〜』を上演します。昼夜2公演です。 入口は三つ。舞台に立つ出演者が約300人、支えるスタッフが約200人、客席で観てくださる方が約12,000人。 どれを選んでいただいてもかまいません。
第1回『佐賀の夜の夢』には、約4,200名の方が来てくださいました。 もっと遠くへ行けるのではないか。それが、私たちの合言葉です。
遅れて届く返事を、待てる場所でありたいと思っています。