はじめては、いつか、あたりまえの風景になる

九月十七日は「モノレール開業記念日」だそうです。1964年のこの日、浜松町と羽田空港を結ぶモノレールが、 日本で初めての旅客用モノレールとして走り出したと聞きました。東京オリンピックの開幕、直前のことです。 渋滞すると一時間以上かかっていた道のりが、十五分になった。当時は「交通革命」と呼ばれたそうです。
けれど、いちばん不思議なのは、そこではない気がします。
いまモノレールに乗って、「宙に浮いた道を走っている」と驚く人は、たぶんもういません。 窓の外を見ている人もいれば、眠っている人もいる。 あれほど新しかったものが、六十年のあいだに、ただの風景になりました。
はじめては、いつか、あたりまえになる
第1回公演のことを、よく思い出します。佐賀で、県民が集まってミュージカルをつくる。 そんなことをやったことのある人は、私のまわりに誰もいませんでした。 それでも幕は上がって、『佐賀の夜の夢』には約4,200名の方が来てくださいました。
あれから、聞かれる言葉が変わりました。 「そんなことができるんですか」ではなく、「次はいつですか」と聞かれるようになったのです。 たった一度やっただけで、それは「珍しいこと」から「この県にあること」に、変わりはじめました。
二度あって、ようやく風景になりはじめる
だから、二回目がいちばん大事なのだと思っています。 一度きりなら、それは出来事で終わります。二度あって、ようやく風景になりはじめる。
2027年9月26日、SAGAアリーナ。第2回公演『ピーターパン 〜ネバーランドSAGA〜』昼夜2公演。
舞台に立つ出演者 約300人 / 支えるスタッフ 約200人 / 客席で観てくださる方 約12,000人。入口は三つあります。
木曜の夕方、日が落ちるのがずいぶん早くなりました。踏切の音がして、 電車を待つ制服の子が、鞄を足のあいだに置いて立っています。 何も特別なことのない、佐賀のいつもの夕方です。この「なんでもない」が、いちばん強いのだと思います。
ひとつだけ、うかがってみたいことがあります。 あなたの町で、はじめは珍しかったのに、いまはあたりまえになったものは、何かありますか。
もっと遠くへ行けるのではないか。それが、私たちの合言葉です。