福は、来るのだろうか

きょう九月二十九日は「招き猫の日」なのだそうです。 九・二・九を「来る福(くるふく)」と読む語呂合わせで、日本招猫倶楽部という会が決めた日だと知りました。 商売繁盛の縁起物として知られていますが、私がひっかかったのは猫のほうではなく、「福は来る」という言い方のほうでした。
福は、来るものなのでしょうか。
招き猫は、待っていない
招き猫は、ずっと片手をあげています。 あれは待っている姿ではなくて、呼んでいる姿です。 来るのを待っているのではなく、こっちだよ、と手をあげている。 そう思ってから、私は稽古場で見た手のことを思い出しました。
こっち、という手
先週の稽古のことです。少し遅れて入ってきた子が、入口で立ち止まっていました。 輪のなかにどう入ればいいのか分からない、あの数秒です。
そのとき、すでに輪のなかにいた別の子が、何も言わずに手をあげました。こっち、という手でした。 遅れてきた子は小走りでそこへ入って、二人は何も話さずに、次の曲から歌い出しました。
私はこの一年、この手をどれだけ増やせるかを考えているのだと思います。
思い出すのは、数字ではなく
第1回『佐賀の夜の夢』は、約4,200名の方が観に来てくださり、収支も黒字で終えることができました。 ありがたい数字です。
けれど、あの舞台がなぜ成り立ったのかを振り返ると、思い浮かぶのは数字ではなく、 誰かが誰かに手をあげていた光景のほうなのです。 経験のある人が、初めての人を呼ぶ。大人が子どもを呼ぶ。裏方が舞台の袖から、次の出番の人を呼ぶ。
オーディションは、私たちが手をあげる日
第2回公演は『ピーターパン 〜ネバーランドSAGA〜』。 2027年9月26日、SAGAアリーナで昼夜2公演です。 出演オーディションは、今年の11月を予定しています。 ミュージカルアカデミーの体験レッスンも、いま受付中です。
舞台に立つ人が約300人、裏で支える人が約200人、客席で観てくださる方が約12,000人。 入口は三つあります。 オーディションは、私たちが手をあげる日です。 福が来るのを待つ日ではなく、こっちだよ、と言う日にしたいと思っています。
ひとつ、うかがってみたいことがあります。 あなたが最後に「こっちだよ」と手をあげたのは、誰に対してでしたか。
もっと遠くへ行けるのではないか。それが私たちの合言葉です。手をあげて、待っています。