いちばん遠い席から、見えるだろうか

きょう十月二日は「望遠鏡の日」だそうです。 1608年のこの日、オランダの眼鏡職人リッペルハイという人が、 遠くのものが近くに見える道具の特許を申請した、と伝わっています。 けれどその特許は認められませんでした。 理由は、原理が単純すぎて誰にでも作れそうだから、だったそうです。
ついでに言えば、同じ十月二日は「豆腐の日」でもあります。「とう・ふ」の語呂合わせだとか。 稽古帰りの夕飯が湯豆腐になる季節が、もう来ています。
誰にでも作れそうだから、特許にならなかった。この話が、妙に頭に残りました。
「いちばんうしろの席から、私の顔は見えますか」
先日のレッスンで、ひとりの子にこう聞かれました。 「いちばんうしろの席から、私の顔は見えますか」。
正直に答えるしかありませんでした。見えません。 SAGAアリーナの客席は、昼夜合わせて約12,000席です。 いちばん遠い席からは、表情はほとんど分かりません。目が合うこともありません。
その子は少し黙っていました。それから先生がこう続けました。
「だから、指先まで動かすんです」
望遠鏡は、遠くのものを手元に引き寄せる道具です。 舞台の上でやっていることは、たぶんその反対なのだと思います。 自分のほうから、いちばん遠い席まで届かせていく。 顔が見えない距離を、からだ全体で埋めていく。 それは特別な才能の話ではなくて、たぶん誰にでもできることです。 ただ、誰もが最初はやり方を知らない。だから稽古場があるのだと思います。
第1回『佐賀の夜の夢』には、約4,200名の方が足を運んでくださいました。 収支も黒字で終えることができました。 あの日、いちばんうしろの席にいた方にも何かが届いていたのなら、 それは誰かが指先まで動かしていたからです。
入口は、三つあります
第2回公演は『ピーターパン 〜ネバーランドSAGA〜』。 2027年9月26日、SAGAアリーナで昼夜2公演です。 本番まで、きょうから約359日あります。
舞台に立つ人が約300人、支える人が約200人、客席で観てくださる方が約12,000人。 どれかひとつを選んでいただけたら、それで十分です。
そして、出演者オーディションの応募を受け付けています。 応募締切は2026年11月15日(日)23時59分。 オーディション本番は11月21日(土)・22日(日)、会場は旧さがレトロ館(佐賀市城内2-8-8)です。 佐賀県にお住まいなら、年齢も経験も問いません。300名募集、参加費1,000円。 ミュージカルアカデミーの体験レッスンも、いま受付中です。
ひとつ、うかがってみたいことがあります。 あなたが「いちばん遠いところにいる誰か」に届けたいと思ったものは、何でしたか。
もっと遠くへ行けるのではないか。望遠鏡の日に、そう思っています。